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壁の家・屋根の家

2011.12.23

伝統的工法の違いは決して偶然に生じたわけではなく、その源には彼我の自然風土と、それに対する人間の基本的態度の差がある。洋の東西を単純に対比させるのは危険であることを承知で、おおざっぱに割り切って言うと、狩猟民族を主流とする欧米人の自然観は敵対的であり、農耕民族である日本人の自然感は親和的である。この差は何を住宅の原型と見なすかという感覚にも及んでいるようで、欧米人にとっての住宅の原型が、壁の入隅を賞揚するバシュラールの発想にも現われているように、敵対的な自然環境を遮断する厚い壁であるのに対し、日本人にとっては、粗末な家のことを「雨露のしのぎ」という謙譲表現が示すように、雨を防ぐ屋根が家の原型になっている。

(参考サイトのご紹介)
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また自然観は社会観とも関連していて、欧米人が近代以前から私的空間を壁によって外部の社会から比較的明確に分け隔てたのに対し、日本では稲作のためには村落共同体の相互扶助が必要であったためか、一つの村落の中では私的空間を近隣の他人から守る意識も薄かった。つまり、日本人にとっては、家の外にあるのは親和的な自然と身内的な社会であったから、家の内外を壁で明確に隔てる心理的必要性は少なかったのだ。