日本列島は、いまや土地の集中と分散となった。昭和30年代の半ばごろから大都市では資本の集中、人口の集中が否応なしに地代水準を高め、都市とその周辺地を含めて、土地をして未曽有の巨大商品に仕立て上げた。その巨大商品の取引きをめぐって、売買1つで巨額の金の入手と巨額の利益が保証された。土地に対する投機がこの傾向に拍車をかけた。土地所有権の集中と分散がめまぐるしいスピードで展開した。昭和40年代に入ると、この傾向は大都市とその周辺から地方に広がった。
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地方における土地の集中と分散は、大都市とその周辺に比べると局地的でスロー・ペースではあるが、しかしそこにおいても資本が土地の物色に立ち現われるや否や、牧歌的な情緒が一変して、土地は魔性をおびた巨大な商品に早変わりしていくのである。地方においてとくに特徴的であった小農の土地はたちどころに兼併されて、1ヵ月もたたないうちに、みたこともきいたこともない「資本」による大土地所有が姿を現わしていく。地代すら生みえなかった土地という土地が、またたく間に高い地価水準を実現して、それが紙幣に表現されていく。その紙幣の魅力の中に土地を見出したとき、いや魅力を小農たちが感じはじめたその瞬間に、彼ら自身の土地所有は音をたてて崩れていくのである。