変化の積み重ねが、建物に熱や湿気をこもらせ、住む人にとっても建物にとっても、不健康な状況をもたらせました。もちろん、夏の住居は極めて堪えがたくなり、クーラーが必需品になってしまったわけです。こうした悪循環から抜け出すためには、私たち一人ひとりの価値基準を見直す必要があります。自然の涼しさや汗をかくということを、じっくりと見つめ直さなければ、ますます浅はかな現代文明の餌食になってしまうだけです。自然の涼しさ、それは言いかえれば、自然の暑さなのです。日本の気候風土においては、いくら温暖化が進んでいるといっても、自然の暑さが人命を奪ったりすることは、めったにないことですし、日常の生活においても、一夏中、熱帯夜なんてあり得ません。ほとんどの場合、自然の暑さは、我慢できるしかも気持ちいいものでもあるのです。我慢できない不快な暑さは、自然の暑さに人工的な要因が加わったものです。例えば、コンクリートジャングルの都心部は、地面が覆われ緑が少ない、クーラーなどの排熱と、私たちの文明生活が付加した人工の原因が、堪えられない夏をつくりだし、さらにクーラーを必要にするという最悪の悪循環なのです。
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